DTC P0420/94 触媒劣化1 アルファード ノア アクア シエンタ
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エンジンコントロールコンピュータは、三元触媒コンバータの前後に取り付けられている2つのセンサを使用して触媒の浄化状態をモニターしている。クウネンヒセンサは触媒前の空燃比の信号をエンジンコントロールコンピュータに送る。オキシジエンセンサは触媒後の酸素濃度の信号をエンジンコントロールコンピュータに送る。エンジンコントロールコンピュータはクウネンヒセンサおよびオキシジエンセンサの出力電圧をもとに酸素貯蔵容量(以下OSCと記す)を算出し、触媒劣化を検出する。
エンジンコントロールコンピュータはエンジン暖機後の車両走行時に、アクティブ空燃比制御を約30秒以上実施する。この時、エンジンコントロールコンピュータは空燃比を強制的にリーンまたはリッチ状態に調整する。ここでオキシジエンセンサのリーン/リッチ周期が長いとOSCが大きいと判定される。
OSC値が判定値以下の場合、エンジンコントロールコンピュータは触媒が劣化したと判断し、チェックエンジンウォーニングランプを点灯させる。
DTC No. SAE/TCCS | P0420/94 | ||
---|---|---|---|
DTC検出条件 | 診断条件 | 以下の条件がすべて揃った時 エンジン水温が75°C以上 吸入空気温が-10°C以上 スロットルバルブが全閉でない エンジン回転数が4000 r/min未満 エンジン負荷が10 to 70 % 触媒暖機後 クウネンヒセンサ活性化 空燃比フィードバック制御中 クウネンヒセンサ正常 オキシジエンセンサ正常 | |
異常状態 | 触媒のOSC値が判定値以下 | ||
異常期間 | 30秒以上 | ||
トリップ数 | 2トリップ | ||
検出方法 | 1トリップ中に1回検出する(判定後は検出を行わない) | ||
検出に使用するセンサ | メイン | クウネンヒセンサ オキシジエンセンサ | |
サブ | インテークエアフローメータSUB-ASSY E.F.I.ウォータテンパラチャセンサ クランクポジションセンサ | ||
点検部位 | 排気ガス漏れ EGRバルブASSY クウネンヒセンサ オキシジエンセンサ エキゾーストパイプASSY FR(フロント&リア触媒) エンジンコントロールコンピュータ |
確認走行
確認走行を行う事により、ダイアグコードの再現確認をすることができる。
SST09991-70201
- DLC3にSST(TaSCAN)を接続する。
- IG ONにする。
- SST(TaSCAN)の表示画面に従って、ダイアグコードを消去する。(要領は参照)
- 車両を“整備モード”にセットする。(要領は参照)
- エンジンを始動し、すべてのアクセサリスイッチをOFFにして、エンジン冷却水温が安定するまで暖機する。(エンジン冷却水温が75℃以上) (A)
- 車両を60 to 100 km/hで5分以上走行する。(B)
- SST(TaSCAN)の画面表示に従って、ダイアグコード判定結果を確認する。(要領は参照)
■ 警 告 ■この走行テストを行う時は、制限速度等の道路交通法を必ず守って実施すること。□ 参 考 □ダイアグコード判定結果が判定中又は判定不可の場合は、再度車両を60 to 100 km/hで5分以上走行(C)後、ダイアグコード判定結果を確認する。それでも判定中又は判定不可の場合は、再度車両を75 to 100 km/hで10分以上走行(D)後、ダイアグコード判定結果を確認する。
触媒配置図
*1 | エキゾーストマニホルド | *2 | エキゾーストパイプASSY FR(フロント&リア触媒) |
*3 | エキゾーストテールパイプASSY | *4 | クウネンヒセンサ |
*5 | オキシジエンセンサ | - | - |
機能説明
SST09991-70201
- DLC3にSST(TaSCAN)を接続する。(A)
- IG ONにする。(B)
- SST(TaSCAN)のメインスイッチをONにする。(C)
- 車両を“整備モード”にセットする。(要領は参照)
- エンジンを始動し、すべてのアクセサリスイッチをOFFにして、エンジン冷却水温が安定するまで暖機する。(エンジン冷却水温が75°C以上)(D)
- 約3分間、エンジン回転数を2500 r/minで保持する。(E)
- その後、2秒間エンジン回転数を2500 r/minで保持した後、1500 r/minで2秒間保持する。(F)
- SST(TaSCAN)の画面表示に従って、[ECUデータモニター] - [O2センサ電圧B1S2]および[A/Fセンサ電圧B1S1]の出力電圧を確認する。
□ 参 考 □
- クウネンヒセンサまたはオキシジエンセンサの出力電圧が変動しない、またはノイズがある場合はセンサが故障している可能性がある。
- 両センサの出力電圧がリーンまたはリッチにとどまる場合は空燃比が極端にリーンまたはリッチになっている可能性がある。
- 触媒が劣化すると、通常走行状態でもオキシジエンセンサの出力電圧が大きく変化する。
□ 参 考 □アクティブテストの[燃料噴射量]を実施することで不具合箇所を特定することができる。このアクティブテストは、燃料噴射量を-12.5%低下または+24.8%増加させることができる。
SST09991-70201
- DLC3にSST(TaSCAN)を接続する。
- IG ONにする。
- SST(TaSCAN)のメインスイッチをONにする。
- 車両を“整備モード”にセットする。(要領は参照)
- エンジンを始動し、すべてのアクセサリスイッチをOFFにして、エンジン冷却水温が安定するまで暖機する。(エンジン冷却水温が75°C以上)
- アクセルペダルを踏み込みながら、エンジン回転数を2500 r/minで約3分間保持して、各センサを暖機する。
- アイドリングにし、SST(TaSCAN)の画面表示に従って、[アクティブテスト] - [燃料噴射量]を選択し、[ECUデータモニター] - [A/Fセンサ電圧B1S1]および[O2センサ電圧B1S2]を選択する。
- アクティブテストの[燃料噴射量]で燃料噴射量を増減させた時のクウネンヒセンサとオキシジエンセンサの出力電圧を読み取る。
結果クウネンヒセンサ、オキシジエンセンサの出力電圧が燃料噴射量の増減に従って変化する。
項目
燃料噴射量
クウネンヒセンサおよびオキシジエンセンサの出力電圧
[A/Fセンサ電圧B1S1]
+24.8%増加
3.1 V未満(リッチ状態)
[A/Fセンサ電圧B1S1]
-12.5%低下
3.4 V以上 (リーン状態)
[O2センサ電圧B1S2]
+24.8%増加
0.55 V以上 (リッチ状態)
[O2センサ電圧B1S2]
-12.5%低下
0.4 V未満(リーン状態)
■ 注 意 ■- クウネンヒセンサの出力電圧には数秒の遅れがあり、オキシジエンセンサの出力電圧には最大約20秒の遅れがある。
- センサが冷えてしまうので、センサ暖機作業に引き続いて電圧を測定する。
事例 | クウネンヒセンサの出力電圧 | オキシジエンセンサの出力電圧 | 点検部位 |
---|---|---|---|
1 | - | ||
2 | クウネンヒセンサ クウネンヒセンサヒータ クウネンヒセンサ回路 | ||
3 | オキシジエンセンサ オキシジエンセンサヒータ オキシジエンセンサ回路 | ||
4 | 燃圧 排気ガス漏れ(空燃比が極端にリーンまたはリッチ) |
点検手順
□ 参 考 □SST(TaSCAN)を用いてフリーズフレームデータを読み取る。フリーズフレームデータには、不具合発生時のエンジン稼動状態の一部を記録してあり、それらの情報がトラブルシュートを行う際に役立つ。
手順1 | ダイアグコード読み取り |
SST09991-70201
- DLC3にSST(TaSCAN)を接続する。
- IG ONにする。
- SST(TaSCAN)の画面表示に従ってダイアグコードを確認する。(要領は参照)
結果
結果
飛び先
P0420/94のみ出力する
A
P0420/94以外のコードも出力する
B
□ 参 考 □ダイアグコードP0420/94以外のダイアグコードが出力された場合は、そのダイアグコードを先にトラブルシュートすること。
B | 関連するダイアグコードチャートへ (要領は 参照) |
A | |
手順2 | 排気ガス漏れ点検 |
- 排気管のつなぎ目および各センサの取り付け部から排気漏れがないことを確認する。
基準排気漏れをしていない。
NG | 排気ガス漏れ修理 |
OK | |
手順3 | TaSCANアクティブテスト実施 |
SST09991-70201
- SST(TaSCAN)をDLC3に接続する。
- IG ONにする。
- 車両を“整備モード”にセットする。(要領は参照)
- エンジンを始動し、すべてのアクセサリスイッチをOFF にして、エンジン冷却水温が安定するまで暖機する。(エンジン冷却水温が75 ℃以上)
- SST(TaSCAN) の画面表示に従って、[ アクティブテスト] - [EGR ステップ数] を選択する。
- アクティブテスト実行中のデータモニター[インテークマニホールド圧]、[エンジン回転数]および[アイドルSW]を確認する。
基準値アクティブテストの駆動指数に応じて[インテークマニホールド圧]、[エンジン回転数]が変化する。
-
EGRステップ数(アクティブテスト)
0 step
0 → 30 step(アイドル時)
アイドリング状態
安定している
安定 → ラフアイドル又はエンスト
インテークマニホールド圧
(データモニター)
20 to 40 kPa
EGR 全閉時より 10 kPa以上増加
□ 参 考 □
- アクティブテスト実施時は、データモニターで[アイドルSW]がONであることを確認する。
- アクティブテスト実施時には、EGRバルブが開いた状態を10秒以上継続しない。
- アクティブテスト実施後は、EGRステップ数を必ず0ステップに戻してから終了する。
- アクティブテスト実施時アイドリング状態に変化が見られなければEGRバルブASSYの故障が考えられる。
結果
結果 | 飛び先 |
---|---|
異常 | A |
正常 | B |
A | |
手順4 | EGR バルブASSY点検 |
NG | EGR バルブASSY交換 (要領は 参照) |
OK | |
手順5 | TaSCANデータ読み取り(A/Fセンサ電圧B1S1) |
SST09991-70201
- DLC3にSST(TaSCAN)を接続する。
- 車両を“整備モード”にセットする。(要領は参照)
- エンジンを始動し、すべてのアクセサリスイッチをOFFにして、エンジン冷却水温が安定するまで暖機する。(エンジン冷却水温が75°C以上)
- アクセルペダルを60 %以上踏み込みながら、エンジン回転数を2500 r/minで約3分間保持して、クウネンヒセンサを暖機する。
- SST(TaSCAN)の画面表示に従って、[ECUデータモニター] - [A/Fセンサ電圧B1S1]および[エンジン回転数]を選択する。
- エンジンが次の条件になるごとにA/Fセンサ電圧を3回測定する。
- アイドリング中(30秒以上測定する)[A]
- 回転数が約2500 r/min(エンジン回転数の急激な変化が無い)[B]
- シフトレバーをBポジションで60 km/hまで加速し、スロットルバルブが全閉するようにアクセルペダルを素早く放す。[C]
[システム選択画面:パワトレ→TCCS→ECUデータモニター] 項目名
条件
基準値
参考
A/Fセンサ電圧B1S1
[A]および[B]
約3.3 Vで変化する
3.1 to 3.5 V
[C]
3.8 V以上まで上がる
エンジン減速中に発生する
(フューエルカット時)
■ 注 意 ■センサが冷えてしまうので、センサ暖機作業に引き続いて電圧を測定する。□ 参 考 □詳細は下記の図を参照する。
□ 参 考 □
- 上記の状態を含めいずれかの状態でクウネンヒセンサの出力電圧が約3.3 Vのままである場合(図解の不具合状態を参照)、クウネンヒセンサに断線回路がある可能性がある。(これはクウネンヒセンサヒーターが開回路の場合でも発生する。)
- いずれかの状態でクウネンヒセンサの出力電圧が約3.8 V以上または2.8 V以下のままである場合(図解の不具合状態を参照)、クウネンヒセンサに短絡回路がある可能性がある。
- エンジンコントロールコンピュータはエンジン減速中は燃料噴射を停止する(フューエルカット)。これはリーン状態を引き起こし、クウネンヒセンサ出力電圧の一時的な増加という結果となる。
- 車両走行時:
燃料濃縮時はクウネンヒセンサの出力電圧が2.8 V未満になることがある。車両には、追い越し時にアクセルペダルを完全に踏み込んだ状態の急加速として伝達される。クウネンヒセンサは正常に機能している。 - クウネンヒセンサは電流出力成分である、よってエンジンコントロールコンピュータ内部で電流は電圧に変換される。クウネンヒセンサコネクターまたはエンジンコントロールコンピュータコネクターで電圧を測定すると一定の電圧結果が表示される。
結果結果
飛び先
クウネンヒセンサ電圧値が正常
A
クウネンヒセンサ電圧値が異常
B
A | |
手順6 | TaSCANデータ読み取り(O2センサ電圧B1S2) |
SST09991-70201
- DLC3にSST(TaSCAN)を接続する。
- IG ONにする。
- 車両を“整備モード”にセットする。(要領は参照)
- エンジンを始動し、すべてのアクセサリスイッチをOFFにして、エンジン冷却水温が安定するまで暖機する。(エンジン冷却水温が75°C以上)
- SST(TaSCAN)の画面表示に従って、[ECUデータモニター] - [O2センサ電圧B1S2]を選択する。
- アクセルペダルを踏み込みながら、2500r/minで約3分間保持し、オキシジエンセンサを暖機する。
- 約2500 r/minの状態で、[O2センサ電圧B1S2]を読み取る。(A)
- シフトレバーBポジションで高回転(4000 r/min)で走行し、加減速レーシングを数回した時の[O2センサ電圧B1S2]を読み取る。(B)
[システム選択画面:パワトレ→TCCS→ECUデータモニター] 表示項目
基準
O2センサ電圧B1S2
(A)の時に0.55 V以上の電圧が出力する
(B)の時に0.4 V以下の電圧が出力する
■ 注 意 ■- オキシジエンセンサの出力電圧には最大約20秒の遅れがある。
- センサが冷えてしまうので、センサ暖機作業に引き続いて電圧を測定する。
飛び先
NG
A
OK (P0420/94出力)
B
A | |
手順7 | オキシジエンセンサ交換 |
□ 参 考 □オキシジエンセンサの交換要領は
参照。
次へ | 手順 10 へ |
手順8 | クウネンヒセンサ交換 |
□ 参 考 □クウネンヒセンサの交換要領は
参照。
次へ | 手順 10 へ |
手順9 | エキゾーストパイプASSY FR交換(フロント&リア触媒) |
□ 参 考 □エキゾーストパイプASSY FR(フロント&リア触媒)の交換要領は
参照。
次へ | |
手順10 | ダイアグコード消去 |
SST09991-70201
次へ | |
手順11 | 作動確認運転実施 |
SST09991-70201
- エンジンを始動し、すべてのアクセサリスイッチをOFFにして、エンジン冷却水温が安定するまで暖機する。(エンジン水温が75℃以上) (A)
- 車両を60 to 100 km/hで5分以上走行する。(B)
- SST(TaSCAN)の画面表示に従って、メインメニュー[診断] - 診断メニュー[パワトレ] - [TCCS] - システム診断メニュー[ダイアグ判定結果確認] - [ダイアグコード別確認]を選択する。
- 次画面にて、確認を行うダイアグコードを入力する。
- ダイアグコード判定結果を確認する。
結果結果
飛び先
異常
A
正常
B
□ 参 考 □表示項目
内容
正常- ダイアグコードの判定が完了
- システム正常
- ダイアグコードの判定が完了
- システム異常
- ダイアグコードの判定が未完了
- 検出条件を確認後、走行テストを実施
- ダイアグコードの判定が実施できない
- 前提条件が成立していないダイアグコード数がエンジンコントロールコンピュータに記憶できる上限に達している
- 検出条件を確認後、走行テストを実施
B | 正常復帰 |
A | |
エンジンコントロール コンピュータ交換 (要領は 参照) |
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