CAN通信システムトラブルシュート タント ムーヴ

アトレーワゴン ハイゼットトラック ミライ一ス CAN通信システムトラブルシュート

トラブルシュートに関する留意点

■ 注 意 ■

  1. CAN通信系のダイアグコードが出力している場合は、必ず「トラブルシュートの進め方」からトラブルシュートを行う。
  2. CAN通信の不具合原因は、コネクターの接圧不足が原因の場合があるため、確実にコネクターの接圧チェックを行う。(要領は参照)
  3. CANバスの抵抗値を測定する場合はIG OFF後、キー操作、スイッチ操作、ドア開閉をせずに1分以上放置してからバッテリを切り離し、再度1分以上経過してから抵抗値を測定する。
  4. IG OFF後、バッテリターミナルを切り離す前に待ち時間が発生する場合がある。このため作業前にバッテリ端子切り離し時の注意事項を確認する。(要領は参照)
  1. CAN通信異常コードは本線および支線の他、CAN通信採用システムのECU、センサの内部異常および電源異常によっても出力するため、該当システムの内部異常および電源異常のコードが同時に出力している場合は留意する。
  2. テスターを使用してDLC3端子を点検することにより、DLC3支線およびVバス本線回路の異常を確認することができる。
    ■ 注 意 ■
    1. DLC3コネクター点検時は、テスター端子を直接挿入せず、SST(ダイアグノーシスチェックワイヤNo.2)を接続して点検する。
    2. DLC3からの各ECU、センサの支線断線の点検はできない。
  3. GTSを使用してCANバス接続ECUを確認することにより、CANバス回路に接続しているECU、センサの内、支線が断線しているものを確認することができる。(DLC3支線およびVバス本線回路正常時)
  4. Vバスの過去通信異常の場合は、出力している通信異常ダイアグコードの組み合わせにより通信途絶となっていたECU、センサを特定する。
  5. 断線異常の不具合が検出された場合、関連コネクターを切り離して点検する前に、コネクターケースを接続方向に押してかん合のゆるみ、抜けなどが発生していないことを確認する。
  6. コネクターを切り離した際、コネクター端子およびコネクターケースに破損、変形、腐食などがないことを確認する。

手順1車両入庫
  1. 車両入庫の際にIG ONできる場合は、速やかにダイアグコードの確認、コンビネーションメータの警告灯の点灯状況および車両の操作性の確認を行う。(例:エアコン作動等)
  2. IG OFFにするとフェールセーフが一部解除されてしまう為、車両確認が終わるまでIG OFFにしないこと。
  3. 車両入庫の際にIG ONできない場合は、バッテリ電圧の測定を行い、バッテリ電圧が11 V未満の場合、バッテリの充電または交換を実施した後、トラブルシュートを行う。
  4. バッテリ電圧が正常で車両がIG ONできない場合は、トラブルシュート実施前に該当箇所を修理する (要領は参照)。
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手順2問診および現象確認
  1. トラブルシューティング時、不具合現象を正確に確認し、正確な判断をする為にも先入観はもたないこと。不具合現象を確認するために、問題について不具合が発生した時の状況をお客様に尋ねることが大変重要になる。
  2. 車両に後付け装備品(盗難防止装置、後付けモニター等)を装着しているまたは、過去に取り付けたことがないかお客様に尋ねる。(取り付けている場合は不具合現象を正確に確認できないため、取りはずし後、トラブルシュートを実施することをお客様にお伝えする)
  3. 不具合時の車両の現象や状態を確認することにより不具合箇所の特定に役立つ。

    □ 参 考 □
    1. 何が(システム、部位、メータ警告灯)
    2. どうなった(不具合の内容)
    3. いつ(発生日時、頻度、再現するか)
    4. どのような状態で(発生時の運転、操作状況、天候)
    5. 道路(市街地、郊外、舗装路、未舗装路、高速道路、他)
    6. 不具合復帰の条件(何をしたら不具合が消えたか。例:IG OFF)

    確認事項一覧 現象
    1. 電動パワステ操舵力は
      - 正常
      - やや重く感じる
      - アシスト効かず
    2. エアコン
      - エアコンは作動していたか
      - ブロアファン回転有無
    3. コンビネーションメータ内表示は
      - 走行中に車速0 km/h表示
      - オド·トリップメータは停止しているか
      - 平均燃費の数値部分が消えているか
      -アイドルストップ時間の算出を停止しているか
    4. ストップアンドスタート機能は
      - ストップアンドスタート制御を禁止しているか
      - ストップアンドスタート制御によるエンジン停止中の場合、エンジンを起動するか
    5. その他気になったシステムの作動
    メータ警告灯
    1. 警告灯点灯状態、点灯した順番
      - ブレーキウォーニングランプ点灯
      - ABSウォーニングランプ点灯
      - スリップインジケータランプ点灯
      - P/S(EPS)ウォーニングランプ点灯
      - チェックエンジンウォーニングランプ点灯
      - eco IDLEウォーニングランプ点滅(黄)
      - CVTウォーニングランプ点灯
      - 他
    2. 各メータの表示
      - シフトインジケータ
      - スピードメータ
    3. マルチインフォメーションディスプレイの表示内容
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手順3診断ツールGTS点検
  1. GTSをDLC3へ接続する。
  2. IG ONにする。
  3. GTSの電源をONにする。
  4. IG ONでGTSと車両側が通信できることを確認する。
  5. 通信できない場合、GTSの画面がフリーズしたままになる。
  6. IG ONでGTSと車両側が通信できない場合、車両側かGTSに問題がある。
  7. 下表のGTSと車両側が通信できない場合、GTSを他の車両に接続し、通信可能になるならば、車両側の問題であるためDLC3のCANH、CANLの各線と、各ECU、センサの電源回路を点検する(この場合、手順7から手順9の点検を先に行う)。またDLC3のBAT端子の電圧がバッテリ電圧(11 V以上)であることを確認する。
  8. GTSと車両側が通信できない場合、GTSを他の車両に接続してもなお、通信ができない場合は、問題はGTSにある。(GTSのバッテリ上がりまたはGTS自体の故障の可能性あり)

B.
手順7へ

C.
GTSのバッテリ上がりまたは不良
A

手順4ダイアグコード確認
  1. GTSを使用して、‘ヘルスチェック’を実施し、現在および過去ダイアグコードを読み取り、記録する。
    ■ 注 意 ■
    1. CAN通信異常コードが通信途絶を示しているECU、センサ自体の電源異常や内部異常コードを記憶している場合は、通信線の異常ではなく、ECU、センサが信号送信不能な状態であった可能性が高い。先にそれら部品異常のダイアグコードについてトラブルシュートを行う。
    2. IG ONまたはACC ON中にCAN通信線を含むコネクターを切り離した場合、該当システムのECUの他に、関連システムのECUもCAN通信異常コードを記憶する。
    □ 参 考 □
    1. CANバス本線の断線、CANバス(CANH,CANL)の線間ショート、CANバスの+BショートまたはCANバスのGNDショートの故障が発生していると、CANバス内のほぼすべてのECUがダイアグコードを出力する。(または、GTS上へ通信エラーのメッセージが表示されることがある)この場合は、CANバスの抵抗点検(この場合、手順7から手順9の点検を先に行う)を先に行う。
    2. CANバス支線の片側断線のときは、特に故障部位と関係のないダイアグコードが出力したり(ダイアグコードの表示が乱れる)、GTS上へ通信エラーのメッセージが表示されることがある。
  2. GTSでフリーズフレームデータを読み取り、記録する。
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手順5通信異常DTC確認
  1. GTSの‘バス診断’ → ‘通信異常DTC確認’を行う。
  2. 各ECU、センサが記憶しているダイアグコードをすべて記録する。
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手順6バス診断(GTSによる接続状態確認)
  1. 車両の仕様および搭載部品から、CAN通信採用システムの搭載状態を確認する。(要領は参照)
  2. GTSを使用して、‘バス診断’画面を再度表示させる。
  3. 画面表示を約2分間確認し、接続ECU、センサの表示を確認する。
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手順7DLC3支線、Vバス本線断線および線間短絡点検(CANH - CANL)
  1. バッテリマイナスターミナルを切り離す。
  2. SSTを使用し、下表に従って抵抗を測定する。
    抵抗値点検端子
    点検条件
    基準値
    B13-6(CANH) - B13-14(CANL)
    バッテリマイナスターミナル切り離し
    54 to 69 Ω
    結果
    飛び先
    OK(54 to 69 Ω)
    A
    NG(70 Ω以上)
    B
    NG(54 Ω未満)
    C

B.
CANバス本線断線点検(DLC3支線/本線/終端抵抗)(要領は参照)

C.
CANバス線間ショート点検(要領は参照)
A

手順8VバスGND短絡点検(E - CANH、CANL)
  1. SSTを使用し、下表に従って抵抗を測定する。
    抵抗値点検端子
    点検条件
    基準値
    B13-6(CANH) - B13-4(E)
    バッテリマイナスターミナル切り離し
    200 Ω以上
    B13-14(CANL) - B13-4(E)
    バッテリマイナスターミナル切り離し
    200 Ω以上
    イラスト内指示文字 *1
    DLC3

NG.
CANバスGNDショート点検(要領は参照)
OK

手順9Vバス+B短絡点検(BAT - CANH、CANL)
  1. SSTを使用し、下表に従って抵抗を測定する。
    抵抗値点検端子
    点検条件
    基準値
    B13-6(CANH) - B13-16(BAT)
    バッテリマイナスターミナル切り離し
    6 kΩ以上
    B13-14(CANL) - B13-16(BAT)
    バッテリマイナスターミナル切り離し
    6 kΩ以上
    イラスト内指示文字 *1
    DLC3

NG.
CANバス+Bショート点検(要領は参照)
OK

手順10バス診断(GTSによる接続状態確認)結果
  1. 手順6の点検結果、不具合と考えられるもの(点検を行った手順)を点検、修理する。

    バス診断(GTSによる接続状態確認)結果 結果
    飛び先
    CAN通信に接続しているすべてのECU、センサが画面上で検出されている
    (CANバス回路現在正常)
    A
    CAN通信(Vバス)に接続しているはずのECU、センサで画面上に検出されないものが1つある
    (ECU、センサの支線断線または通信途絶)
    B
    CAN通信に接続しているはずのECU、センサで画面上に検出されないECU、センサに加え、確認中に、検出状況が変化(検出 ←→ 非検出)するECU、センサがある
    (ECU、センサの支線片側断線)
    C
    ■ 注 意 ■
    1. 搭載されていないECU、センサは表示されないため、通信途絶ECU、センサと間違えない。
    2. GTSのバス別表示で、ECU、センサのないバスが選択できる場合があるが、異常ではない。
    □ 参 考 □
    1. バス診断については、ダイアグノーシスシステムの「CANバス診断画面(バス診断)の見方」を参照する。(要領は参照)
    2. 確認中、検出状況が変化するECU、センサがある場合は接続ECU、センサのいずれかの支線で片側断線が発生している場合がある。(片側断線したECU信号がノイズとなり、GTSへの応答、表示に影響している。)

B.
症状別一覧(要領は参照)

C.
CANバス片側断線点検(要領は参照)
A

手順11通信異常DTC確認結果
  1. 手順5の点検結果、不具合と考えられるもの(点検を行った手順)を点検、修理する。
  2. 通信異常ダイアグ確認をするときは、ダイアグノーシスシステムの「通信異常のダイアグコード(U****)の見方」を参照する。(要領は参照)
  3. 通信異常ダイアグコードの記憶があり、GTSの‘バス診断’画面でCAN通信に接続するECU、センサがすべて検出される場合は、現在発生していない過去故障が考えられる。
  4. Vバスの支線異常は関連するそれぞれのECU、センサが検知するため、出力コードの組み合わせにて不具合箇所を特定する。
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手順12ダイアグコード組み合わせ表確認
  1. 各ECUが記憶しているCAN通信系ダイアグコードの組み合わせから、通信途絶となっていたECU、センサを選定する。(要領は参照)

    結果
    飛び先
    組み合わせ表に該当しない
    A
    組み合わせ表に該当する
    B

B.
症状別一覧(要領は参照)
A

手順13不具合再現テスト(Vバス本線過去異常)
  1. バッテリマイナスターミナルを接続する。
  2. GTSを使用して、ダイアグコードを消去する。
  3. Vバス本線を含むワイヤハーネス、コネクターについて不具合現象シミュレーション点検を行う。(要領は参照)
  4. 不具合シミュレーション点検により、異常ダイアグコードを出力する部位を確認し、不具合箇所を特定する。
    □ 参 考 □異常ダイアグコードが出力した場合、IG OFFにしないこと。
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手順14調整、修理または交換
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手順15確認テスト
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終了
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